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骨折や盲腸などの急性疾患の多くは、薬物療法や手術などの医療機関での治療で対処できます。しかし、長い経過をたどる慢性疾患の場合は、医学的な治療だけではなく、患者自身が自分の病気を管理する「セルフマネジメント」(自己管理)が重要となります。

「慢性疾患の人のためのセルフマネジメントプログラム」(セルフマネジメントプログラム)は、病気とうまく付き合い、自分らしく日常生活を送ることができるように患者を支援するための教育プログラムです。患者同士が集まり、悩みや問題をどのように解決していけるかを、講義とディスカッションで学んでいきます。

 

「慢性疾患の人のためのセルフマネジメントプログラム」(Chronic Disease Self-management Program)は、米国・スタンフォード大学医学部患者教育研究センター長のケイト・ローリッグ氏をはじめとする研究チームによって開発されました。

プログラムの内容は、慢性疾患の患者と医師へのヒアリング調査をもとに検討され、患者が知りたいこと、医師が患者に知ってもらいたいことを具体的にテーマとして取り上げるものとなっています。

また、同研究チームはセルフマネジメントプログラム受講者の追跡調査を実施しており、プログラムの効果検証も行っています。

セルフマネジメントプログラムは、英国では政府による健康増進策の一環として採用されているほか、すでにカナダ、メキシコ、スウェーデン、オランダ、ノルウェー、スイス、オーストラリア、二ユージーランド、南アフリカ、中国など世界10ヶ国以上で導入されています。

慢性疾患において患者が管理しなければならないポイントは3つあります。

1つ目は、くすりをきめられたとおりに服用するなど、治療方針について医師と話し合った上で自ら正しく実行して「治療のマネジメント」です。

2つ目は、病気を抱えながら仕事をしたり、家事や育児をした役割をとる「社会生活のマネジメント」、

そして3つ目は、病気であるがゆえに感じる怒りや徒労感と向き合う「感情のマネジメント」です。

「慢性疾患の人のためのセルフマネジメントプログラム」は、これらのポイントに対処するため、「治療」「社会生活」「感情」にかかわる問題を患者にとってより身近なテーマに置き変えて学んでいきます。

 

くすりの服用など、治療方針について医師と話し合った上で自ら正しく実行していくこと

 

慢性疾患と上手に付き合いながら、仕事をしたり、家事や育児をしたりといった役割をとっていくこと

 

病気であるがゆえに感じる怒りや疲労感、無力感、不安などと向き合い、対処すること

 

セルフマネジメントプログラムは現在、世界10ヶ国以上の医療機関・地域福祉施設・患者会などで実施されており、プログラム受講者からはたくさんの反響が寄せられています。

米国・ペンシルバニア集ののジョン・Pマーサ神経科学・ペイン研究所でこのプログラムに参加した、シャロン・リーマンさんは、プログラム終了後、

「以前に比べて上手に症状をコントロールすることができるようになった。また、家事のやり方をくふうするなど日常生活面でもプログラムで学んだことを積極的に活用している」

と語っています。

一方、オーストラリア・ロイヤルホバート病院のセルフマネジメントプログラムでは、

「病気だと知ってすっかり失っていた自身をこのプログラムで取り戻すことができた」

「このプログラムで仲間と知り合い、自分はひとりではないということに気付かされた」

など、多くの受講者から好評を得ています。

また具体的な成果として、治療のために減量が必要だった患者が、プログラムの受講により食生活を改善し、減量に成功したというケースも報告されています。